超ひさびさの更新です。
というか、みなさま、明けましておめでとうございます。いやもうすっかり明けきっちゃってんのに今さら、なんでありますが。
さて、ようやくの今年初更新なんですが、本来ならば昨年の初更新が平成18年1年間の死刑判決の動向だったんで、今回も19年の死刑の動向でいこうかと思ってたんです。が、やめました。
実は弊ブログでも何度か取り上げてきた例の「法廷のファンタジスタ」、彼がまたひと騒ぎやらかしたんですね。それで、MSN産経ニュースの方にこの週末用のコンテンツとして急遽、彼のこれまでの足跡をたどる記事を出稿しました。でもイザ!にはアップされてないので、それを転載してお茶を濁す、いや、みなさまにお楽しみいただこうと。
彼については、これまで一昨年9月30日のエントリ「法廷のファンタジスタ」と昨年1月18日のエントリ「さよなら、ファンタジスタ」で取り上げてきました。その後の彼の華麗な復活については、トリビアの傍聴人さんのブログ「大阪地裁、高裁徒然日記&こぼれ話」の昨年10月11日のエントリ「法廷のファンタジスタ、面目躍如!」(http://compaq1958.iza.ne.jp/blog/entry/339510/)に詳しい傍聴記が掲載されています。
なお、復活以降の公判については、フクトミ、裁判担当を外れているため傍聴しておりません。この1月10日も傍聴したいのはやまやまだったのですが、この日フクトミは夕刊編集のキャップにあたっており、大阪府知事選の告示日だったこともあって泣く泣く西天満遠征を断念いたしました。よって、以下に引用する記事の復活以降の公判の記載は、現在裁判担当をしている後輩の傍聴に基づくものです。もちろん文責はフクトミにあるわけですが。
ちなみに、これまでのエントリでは被告人のことを「F被告」と表記してきましたが、今回から実名に切り替えております。
弊ブログにおいては一応、被告人が問われている公訴事実そのものに重きを置いた内容の場合は実名、そうではなく被告人のパーソナリティーが興味深かった場合は仮名、というように使い分けてきたのですが、もはやここまで来てしまうと実名の方がふさわしいかと考えた次第です。
では、ファンタジスタのファンのみなさん、お楽しみください。あ、まとめ記事といった性格上、これまでのエントリとの重複感はご勘弁を(笑)。
あと、止まったままの
法廷暴行男、その2年間の軌跡
「気に入らん刑務官がおらんかったから、きょうは暴れなかった」。大阪地裁で10日に開かれた刑事事件の初公判。法廷内で刑務官に暴行したなどとして、公務執行妨害などの罪に問われた韓国籍の無職、文正博被告(45)はこう言い放った。文被告はこれまでに3度、法廷で傷害事件を繰り返した常習犯。事件を起こしては、その公判でまた暴れて起訴される。その2年間の軌跡を振り返った。
■平成18年1月13日
この日午前9時55分ごろ、大阪地裁の5階にある502号法廷が突然の混乱に陥った。傷害と器物損壊の罪に問われ懲役4年の実刑判決を言い渡された被告がその直後、いきなり検察官の机に飛び乗り、顔を蹴るなどの暴行を加えたのだ。それが、文被告だった。
文被告が問われていたのは、そもそも留置場で別の容疑者を殴った罪だったのだが、今度は検察官への傷害と公務執行妨害の罪で起訴されることになった。
■同年3月28日
1月の検察官への傷害事件の初公判。文被告は罪状認否で起訴事実を認め、おとなしく座っていた。被告人質問では「(検察官の)顔としゃべり方が腹立った」「反省してへん。謝る気持ちがあるんやったら、初めからせえへん」などと供述した。
ところが被告人質問が終わった午後1時半ごろ、今度は隣に座っていた刑務官に対し「おまえらもじゃ」と叫びながら殴りかかった。床に飛び散る血。文被告はすぐに4人の刑務官に取り押さえられ、退廷を命じられた。被告不在のまま、検察官が懲役2年6月を求刑して結審した。
■同年4月18日
この日開かれた検察官への傷害事件での判決公判では、過去2回の事件を踏まえ、異例の厳戒態勢がとられた。
通常の公判では2、3人しかいない刑務官が9人、被告をぐるりと取り囲む。さらに、傍聴席にも職員7人を配置。“凶器”になりかねない証言台のいすやマイクも撤去された。裁判官は「動かないようにね」と念を押してから、懲役2年4月の実刑を宣告。「感情に走らず、もう少し考えてから行動するようにした方がいい」とたしなめたが、被告はうつむいたままだった。
■同年9月13日
この日は検察官への傷害事件の控訴審初公判が開かれた。文被告はこの間に、3月の刑務官への傷害事件でも懲役2年8月の実刑を言い渡されている。ところが、それに懲りるどころか、この日も文被告は「大暴れをするつもりだった」のである。
被告人質問で、ボクサーのように引き締まった体をタンクトップに包んだ被告は、こう言い放った。「拘置所で聞いたラジオのニュースで、ついこないだ、秋篠宮のとこの紀子さんが太郎ちゃん産んだって聞いて、なんやすごい嬉しくなってしまった。本当は今日、3度目の大暴れをするつもりだったが、紀子さんと太郎ちゃんのためにやめることにした」
■19年1月11日
刑務官への傷害事件の控訴審判決公判。検察官への傷害事件は懲役2年4月の実刑が確定している。この日も、改めて懲役2年8月の実刑が言い渡された。ところが言い渡しが終わった後のことだ。文被告は「裁判長、ひとことだけよろしいか」と切り出した。
「後ろに今日もぎょうさん人が座ってて、わしがなんかやらかすやろうと待ってるんやろうけど、期待に応えられなかったことは申し訳ない思うてます。このまま(刑務所に)行きますんで」
文被告はこう言い残し、満員の傍聴席を見やった後に法廷を後にした。
■同年10月11日
すべての事件の判決が確定し、あとは刑務所へ移送されるだけだった文被告が、またも法廷に舞い戻ってきた。移送直前、拘置所で暴れる事件を起こしたのだ。
ところがこの日の初公判。刑務官人に取り囲まれて入廷した文被告は手錠を外された直後、「おらー」と叫びながら傍らの刑務官の顔を殴り、すぐに制圧された。そのまま退廷を命じられ、いっさい審理に入れないまま、閉廷となった。
■20年1月10日
仕切り直しの初公判。この日も厳戒体制がしかれたが、文被告は一転しておとなしく入廷。5件の罪状を認めた後、被告人質問で弁護人から「なぜ今日は暴行しなかったのか」と聞かれると、「刑務官にもいろんなやつがおる。気に入らない刑務官がいなかったから」と返答。「巨象のような国家権力とけんかしたかった」などと持論をまくし立て、裁判官を苦笑いさせる場面もあった。
検察官の「なぜ国家権力とけんかするのか」との問いには「検事の偉そうな態度が嫌いや」と答え、「次の公判も、この刑務官を頼みますわ」と裁判官に要求した。
検察側は懲役6年を求刑し、結審。判決は24日に言い渡される。これまでの刑と通算すればかなりの長期服役となるが、文被告はかつて、こんなことを言っていた。
「大人になってから今まで、シャブのおかげで1年以上娑婆にいたことがない。今度の懲役で、俺の一番の欠点のシャブがやめられると思う」


by amber0921
「更生に資する刑事弁護」